毎朝乗る地下鉄では、かならず朝に限りマイク片手に電車の接近
や客の乗り降りのアナウンスをしてくれる見るからに学生アルバイト的な、
そしていかにも電車愛好会ですっ!的な男の子が数人いるのだが
ここ数ヶ月はずっとY君がアナウンスを担当していた。私は彼の、もういかにも
電車のアナウンス的な、妙な声色に妙な語尾の揚げ具合、そして
妙な文節の切り方に、「ああこの人は心底この仕事にプライドもって
るんだな」と好感をもっていたので毎朝ひそかに楽しみだったのだが
なぜか今日は別の人がアナウンスを担当し、Y君は乗客整理に追われて
いた。なんだかとても味気ない朝だった。