最近の出来事
可も不可もない日常の中で一つ面白い出来事があったので紹介します。
○ザ・マルチ商法潜入レポート 補整下着編
ある日、時々飲みに行く女の子の同期から「補正下着の試着体験にいってみないか」とお誘いを受けた。
聞くと、その子は少し前から補整下着を愛用しているらしく、友人を紹介すると次回から15%引きで
商品が買える特典がつくとのこと。さらに、体験試着した人にも、在庫があれば下着を無料でプレゼン
トされると聞いて、「今お金ないし買わないと思うけど、体験だけなら行ってもいいよ〜」と気軽に
OKした。

そして体験試着当日。店に向かう道中そういえば値段を聞いてなかったと思い、「で、その下着って
いくらぐらいするの?」と質問してみた。するとその子は平然とした顔で「ええーっとね、だいたい
最低限そろえようと思ったら30万するかな。」と答えるではありませんか!さ、30万!?だいたい下着
にほんと無頓着な私は、別に無印の500円パンツでも十分満足できるので30万という価格設定にものすごく
きな臭さを感じ、これはマルチなのではないか・・・?という疑いをもった。ただ、紹介してくれた人に
向かってさすがに「マルチ臭いしやっぱやめるわ」とは言えず、「ふーん結構するねえ・・・。で、別に買う
ように強制されたりはしないんでしょ?」と聞くと、「強い意志で持って断ったら大丈夫だよ」と何とも
意味深な答えが返ってきた。うーん大丈夫かなあと思いつつ、到着したその店は雑居ビルに入った、
外からでは下着の店とは全く分からない事務所のような場所だった。(その店の名前は以下○○○)


ドアを開けると、2,3人の若い女の人がものすごいハイテンションで「いらっしゃいませ〜!!!」
とお出迎え。みなさん一様に白いシャツとぴちっとした黒のスカートを履いているのだが、どの
人も胸が異常に上に上がっていて巨乳に見える。うーんこれが下着の効果なのだろうかと思いつつ
中に通され、椅子に座らされた。中は大きい丸テーブルが一つと椅子そして更衣室のような、カーテンで
しきられた空間が3つほどあり、肝心の下着はガラスのショーケースに2,3ほどしか陳列されておらず、
傍目からは全く下着を販売している様に見えない。普通下着売り場なんて所狭しとパンツやら
ブラジャーやらが並べられているのに、これでは何の店だかさっぱりわからない。これはさらに
怪しい・・・。ここで私はもうマルチ確定、あとはネタとして思いっきり楽しんでしまおうと
腹をくくってしまった。


すると、1人の店員(以下Aさん)が私の横に座り、きゃぴきゃぴと「今日はどうして体験試着に来ようと思ったん
ですかあ?」と聞いてきた。「いや〜パンツが無料でもらえるかもと思って・・・」ともさすがに
言えなかったので、「いや〜下着で体型が良く見えるようになったらいいなと思いまして・・・」
と優等生的に答えたらすっかり目を輝かし、「そうなんですか〜!じゃあ、これから少しお勉強を
してから体験試着に入りましょうねえ〜」と馴れ馴れしく答え、「なぜ、体型が崩れるか?」という
テーマでレクチャーが始まった。体型が崩れる理由は4つあるらしい。①老化②重力③出産そして
4つ目が「合わない下着」。どうも○○○によると「下着」を理由とする体型の崩れを非常に重要視
しており、パンツやブラジャーからはみ出るお肉の部分が重力の力でもってどんどん下に垂れ下がり、
太ももや背中に肉がついていくのだそうだ。ふん、それはそれでありえる話だなあとまずは納得。
そして、お肉がはみでないようにお尻や胸をしっかり包むように出来ているのが○○○の下着
なんです!と締めくくった。


そして今度は用紙を取り出し、「これからアンケートに答えてもらいま〜す」と質問を始めた。
「dennyさんの身体で一番気になるところはなんですか?」と聞かれ、アンケート用紙を見ると
「胸、ウェスト、背中、お尻、太もも、足の付け根」と選択肢がある。「あ〜やっぱり私お尻が
大きいんで、お尻でしょうねえ」と言うと、「どういうお尻になりたいですか?」とすぐさま
質問を返してくる。なんだよ、そんな恥ずかしいこと聞くなよと思いつつ「そうですね・・・パンツとか
履いたら小尻に見えるようなそんな感じがいいですよね・・・」と言うと「そうですよね〜
ぴっちりしたジーンズがかっこよく履けたらいいですよねえ〜じゃあ太ももはどうですか?」
とすぐに質問を変える。「あ〜太もももねえ太いんでもっと細くなれたらいいですねえ」と
いうと「そうですよね〜特にこの内もものお肉ね〜これが太く見えるんですよね〜これが
上に上がると全然違うんですよ〜、じゃあウェストはどうですか?」
・・・・なるほど、こういう質問を続けてまずは自分の身体についての問題意識を植え付け、
これが直ったら自分はきれいになれる!と言う風に気持ちを高めるためにこうしつこく
聞くんだろうなあと思いつつ、質問に答えていたら、結局選択肢にあがっているもの全てに
丸をつけられてしまった。


あとは、毎月に化粧品や下着にお金をかける費用とかなんやら聞かれ、「ありがとうございました〜
じゃあこれからdennyさんに体験試着をしてもらいますねえ〜。まずは、皆さんに向かって立って
みてください」と言われ、同期の子やら他の店員さんの前で気を付けで立たされた。そして
「今dennyさんの胸の位置はこの辺です!」と乳首の部分に黄色い丸いシールを服の上からペトっと
貼られた。そして後ろ向きにされると店員さんから一斉に「あ〜このお尻の付け根!!この肉をぐっと
上に上げたい!!」「あと、太ももの内側ね〜これを失くしたい!!!」と一斉に私の体型について
好き勝手非難し、完全にさらし者状態。おいおい勘弁してくれよ・・・とすっかり気が弱くなると
「さあ!これでえ、この○○○の下着に替えるとどうなるか楽しみですね〜では試着体験に
いってきま〜す!!!」とAさんが言うとみんな一斉に「いってらっしゃ〜い!!!」。こえ〜
こえ〜よ〜〜。


さて、カーテンが引かれた更衣室にAさんと入ると、そこは壁がカーテンを除く三面とも
鏡貼りになっていて、自分の身体がいやおうなしに目に入る。するとAさんが、私が最も
気にするお尻の、パンツからはみ出ててぷっくりしている部分を「失礼しま〜す」と言いながら
指でつまみ、「これこれこれ!!この下着からはみ出ているこのお肉!これがあ〜こう下に
垂れ下がっていって太ももの肉になってしまうんですよお〜」と恐怖心をあおる口調で話し、
そしておもむろに「それでは今からdennyさんの身体を採寸しますので、パンツ以外全て
脱いでください」と宣告した。え!?パンツ以外みんなっすか!?しまった・・裸になると
分かっていたら無駄毛処理もしてきたし、なによりもっとましな下着にしたのに・・・と
気が重くなりつつも、まあここまできたらそんなこと気にしても仕方ないか、なんせもう
二度と会わない人なんだし・・・と腹をくくり、パンツ以外全て脱いでしまった。


こう全て服を脱いで自分の身体を見てみると、自分の身体のなんとも醜い部分が目に
入るものだ。はあ、こんな姿をまじまじと見られる羽目になろうとは・・・と心底
ここに来たことを後悔したが、そんな私の気持ちなど露知らず、Aさんはバストから
エスト、ヒップ、太もも周りなどひととおりメジャーで図って数値を記入し終わると
私のサイズに合った下着を持って再び更衣室に現われた。

まずはショーツからである。色はベージュ色の至って普通のショーツ。特にすごい
機能がついているとは思えないのだが、「このショーツはあ、縫製の仕方が普通のとは
違って、こうまーるい立体の形で織り上げていくので、お尻のフィット感が全然違う
んですよお」と解説していただいた。履いてみると、確かにお尻の肉がはみ出ることが無く、
ちゃんとお尻全体がショーツの中に収まっている。ただ、履き心地はいたって普通のパンツと
変わらない。


そして次にロングガードルが登場。特にお尻の辺りの生地がぶ厚めで、なるほどこれは
しっかりお尻の肉が入りそうだなという感じはするが、大手下着会社のそれとどう違うのか
と聞かれたらやっぱり答えられないくらい違いがよく分からない。これをショーツの上から
履くと、なるほどぴっちり太ももとお尻の部分が締め付けられている感覚になるが、
相変わらず内ももの肉もお尻の肉もぷっくりしている。するとAさんが、「さあ、これから
○○○の最大の特徴である<ボティメイク>をしま〜す」と高らかに宣言した。は?ボティ
メイク?なにそれなにをメイクするの??ときょとんとしていると、いきなりAさんが
「失礼します!」とか言いながら私のパンツの中に手を突っ込み、私の右太ももからお尻に
向け、もんのすごい力で肉を持ち上げ、ガードルの中にその肉を収めていくではありませんか!!
身体が倒れそうになるのを足で必死に踏ん張りながら、ボディメイクを施される私。なんだよ、
結局人力頼みなのか・・・と思いつつ、メイク終了後の身体を見ると、うーんわずかながらお肉が
目立たなくなったものの、別に劇的に変わったという程ではない。Aさんもそう思ったのか、「もう一度
やりま〜す」と、再びパンツに手を入れ、右太ももの脂をさっきの1,5倍の力で握り、上へどんどん
あげていく。い、痛い・・・。そしてメイク終了後、「それでは左と比べて見ましょう〜」とまずは
左の鏡を見ると、なるほど、右に比べると肉が目立つ。ただ、終了後の右お尻をみても、わざわざ
こんなに力を入れて肉を入れなあかん苦労の割にはあまり変化がみられない。ところがAさんは
「うわ〜〜〜きれいきれい!左と全然ちがいますよお〜!ほら、このお肉があ、右では消えてる
じゃないですか!!」と、大変満足されておられるのだ。うーん大げさだなあと思いつつも
私は「何を言っているんですか!!さほど変わってないじゃないですか」と文句をはっきり言える
性格ではないので、「え〜そうですかね〜うーん確かに左と比べるとすっきしたというか何と言うか・・・」
と調子を合わせてしまうお調子者。